HOME > 大切なこと > 大切なこと 2015

〝大切なこと〟2015

   2015-1-1〜2015-12-1

2015年 12月1

子供の頃と今の私




私が小学校6年の頃の話です。
屋台のラーメン屋をしていた父が町内の役をすることになりました。
どちらが会長で副会長だったか覚えていませんが、
中学校の習字の先生とペアでした。
父はその日稼ぎで雨が降ったら仕事にならず、
計画的な生活はできませんでしたが、
親切で面倒見が良かったので町内の人から慕われていました。
いつかこのページでも語りましたが、
父の通夜に駆けつけた町内の人達が嗚咽号泣していたことがそれを物語ります。
その頃の小学生は、6年生の夏休みに臨海学校というのがあって、
海での共同生活を楽しむ企画が学校でありました。
私も、と申し込んだのですがお金が払えず断念したのを覚えています。
そんなこともあって、私は町内の皆で海に行けないかと思いました。
父に提案したら、「そんなら皆の意見を聞きに行ったら?」ということになり、
一軒々々、尋ね歩いた光景が今でも思い出されます。
それを許した父も、それを行動した私もやはり似ているのでしょうね。
結局、海に行くのは諸条件で無理だということになり、
八瀬のプールとお化け屋敷に行くことになりました。
後に通うことになる中学の習字の先生と父の付き添いで、
町内の子供達は楽しむことができました。

私が、地域で支援NETWORKを志したのも、
また一見恵まれた人よりも、
何か共通したものを感じる人に心を寄せたくなるのも、
子供の頃の経験からのように思われます。
いまの私の地域は高級住宅街とまではいかないけれど、
皆そこそこの生活ができる人たちがほとんどです。
そういった地域では、いったい何が福祉なのか、
なかなか見えてきません。
それでも何かできるかという思いで13年間、旗を上げることができました。
今、私は何が福祉なのかを思うことに疲れてしまったようです。
今年で支援NETWORKは一旦終わりにすることにしました。
でも「大切なこと」は、友人が続けるように勧めてくれたので続けることにします。
読んでくださる方、今後もよろしくお付き合いくださいね。
また私にこの地域の福祉が見えたら再開することにします。
きっと再開します。

今も支援NETWORKを支えようとしてくださっている友人に感謝いたします。


2015年 9月1日

掃除の神様




フイットネスクラブに通って1年になります。
ラテンダンスやエアロダンスにもつれていた足は、
遅ればせながらも遊べるようになりました。
勤務している支援学校の卒業生徒との久しい出会い。
同級生との出会い。
年金生活のなかで、お得な時間帯の利用とお風呂に入って帰り、
家計の節約と健康維持にと賢い選択を考えた老年夫婦との出会い。
そこには多くの出会いがあり、様々な暮らし方があります。
このところの健康ブームで、老若を問わずエクササイズ、ヨガ、マシーン、プールはいつも人で活気づいています。

ある日、ウォルト・ディズニーの言う『掃除の神様』との出会いがありました。ディズニーの神様シリーズは累計75万部を超えたそうです。
こんな近くに、おもてなしの心を持った掃除の神様がいました。「おもてなしの根本にあるのはただ純粋にゲストのハピネスを願う」です。
そこには表も裏もない気配りの精神がある、と。
このように捉えると『たかが掃除されど掃除』、
他の職業に劣ることはない誇り高い仕事です。
私が勤務する知的に障害のある生徒たちも、
このように誇り高い精神や技術の習得を学習させてやりたいです。

さらに介護の本当のおもてなしとは?と思いを馳せます。
答えはまさしく私の課題でもあるのです。


2015年 8月1日

福祉ってなに?




福祉に根ざした地域社会を目指して、支援NETが歩き出したのは13年前です。
しかし、介護の世界でも社会のツケは大きいようです。
当たり前でもありますが、右往左往の道のりでした。

支援NETWORKは人と人との関係をことさら大事にと思ってきました。
関係性を大事にと思うが故にギクシャクすることもあります。
皆それぞれ個性は違い、当然価値観も違います。
毎回の集いを「どうしたい」と、思う想いもそれぞれ違います。
また一人ひとりの参加スタイルも違います。

8年前の5周年のテーマ「福祉コミュニティーの創造」を振り返ると、そこでは福祉を基にした地域の関係性のあり方を問うていました。
長年、それを問いつづけてきたけれど、それぞれの生活環境において、目指す関係性の姿は当然のことながら違います。
そんな中で目指す関係性のあるべきものがわからなくなってきました。

支援NETは、仲良しクラブではなく営利が目的でもなく、
名誉が欲しいわけでもなく、政治政策を支持するものでもなく、ただ目指すは福祉に根ざしたコミュニティーづくりだったはずです。
難しいね。
仲良しクラブも営利の組織も分かりやすいけれど、本当に難しい。
だからこそ見えないものを求めて続いてきたのかもしれないですね。

それぞれがそれぞれの生活の中で暗中模索し、自分と向き合う。自分と戦う。
その根底は福祉に根ざしたコミュニティーを願う思いが「あるかないか」かな?
その先には、必ずより良い関係性の有り様が見えてくると信じることにします。
固いね。重いね。もっと気楽に、なんてそんなことを思います。
それでも、だからこそ今日まで続いてきたのだと思い返します。


2015年 4月1日

大切な人との出会い

.


ミモザが春の光を受けて眩しい金色に揺らぐころ、
「私の福祉が何であるか一緒に考えて欲しい」
文字盤でそう言われたのは
筋萎縮性側索硬化症の患者さんだった。
いまだかつて福祉という言葉の
その意味の深さをこの時ほど感じたことはなかった。
いや、感じようとしたことはなかった。

日本の人口だいたい1億2千万人のうち、
6000人から7000人の人がこの病気になっている。
私は日本人口からすると本当に少数の
ALSの患者さんの一人と出会うことになった。






2015年 3月1日


「あなたにとってよりよい人生とはどういうことを意味しますか?」

----- ある研修での課題レポート -----




私にとってよりよい人生とは、今大切にしていることが続けられることかと思う。それは互いの思いや願いを分かち合える人たちに出会えて互いに学び、成長する過程が楽しめることだと考える。


私は、結婚が早くて19歳の時だった。嫁いだ家は、立派な門構えの大きな家の並ぶ住宅街のなかにあった。それにひきかえ私の育った家は、借家の長屋で、今にもどこかが壊れそうなたたずまいだった。また私の父親の職業は屋台のラーメン屋で、夫の父は大学教授だった。周囲の住民も、会社の社長、大企業の役員など、それまでの私にはとてもかけ離れた人たちばかりだった。嫁いだ時から子育ての時代を経て、子供が大きくなるまで、そして今でも、そういう人たちに馴染めない私がいた。
地域とそこに住む人たちと私自身との精神的な格差は大きく開いていた。
夫が早くから一部上場企業の重役になり、社長になってからも周囲の人は〇〇の社長の奥さんという具合に位置づけたが、私の精神的格差は埋まることはなかった。

子供の懇談会で、被差別部落の生徒の課題や、他いろいろなところで社会的に弱い対場の人に親身になる私がいた。それは、私の育った環境から生まれた精神的に落ち着ける場(心のよりどころ)だったのかもしれない。
私は学生時代、看護師志望だったが母が反対してやむなく企業に勤めた。子供の手が離れ、夢だった看護師には年齢的にも手が届かず、介護士になることにした。
これまで多くの利用者と出逢った。
利用者をはじめ今住んでいる地域で、本当に心を許せる友人を持っている人は何人いるのかと考える時がある。今の私にとって、より良い人生にまだ道を開ける可能性があるのなら、互いの思いや願いを分かち合うことへ力を注ぐことに時間を使いたいと思う。

今、私の住む地域で市民グループ、くらしの支援NETWORKを主宰している。今少し私のよりよい人生のためにその場での仲間創りに托したいと思っている。
それが私のよりよい人生に繋がるようにと思いを込めて。


2015年 2月1日


忘れかけていた『大切な時間』




娘さんが吐露されました。

ALSのお母さんと一緒に生活することになった訳を・・・
喉につかえていたものがするりと通ったように。
寒い寒い冬の午後。
訪問入浴、訪問リハとサービスは続きます。
その空いた時間に話は続きました。
私は縁あって医療処置のケアが必要な、
要介護者のところへ行くことになりました。
娘さんは幼い頃の家族の様子を
スクリーンのように観せてくださいました。
私の幼い頃のくらしと似たものがあって・・・
スーッと心に入ってきました。

1月の支援NETの集い『くらしを創る』で、
「胃ろうの選択」をとり上げました。
その時は人ごとのように、けれど懸命にわかろうとしました。
今回、重度難病ALSのかたを目の前にして、
生きる(活きる)ということに真摯に向き合う時間が生まれました。
忘れかけていた『大切な時間』です。


2015年 元旦


あけましておめでとうございます




春には支援NET立ち上げ時に植えた(2002年)桜の苗木が小さな庭を彩ってくれます。


私が支援学校で役割をもらって早10年になります。
毎年、希望に燃えた生徒たちの「世界にひとつだけの花」を見つける手助けが少しでも出来たらと思い、力不足ではありますが頑張っています。
今、生徒たちと ♪♪♪ 世界にひとつだけの花・・・♪♪♪ を手話で唱っています。
今年もまた1年、力不足ではあろうかと思いますが頑張ろうと思います。
関係者の皆様、お力添え頂きますようお願い致します。

私生活では、若い人に交じってエアロビを踊って(?)います。
同年代の人と「若返るねー」と言いながら自分の歳も忘れていい気分です。
カラオケも少し楽しめるようになって来ました。
仕事や遊び、おつきあい頂いている方々本当にありがとうございます。
そして支援NETの小さな庭をたずねて来ていただける方が増えますよう願っています。