くらしの支援NETWORK



2009.07.15 救急救命の手当



くらしの支援NETWORKでは
 参加者とは創り出す当事者のことです
 たくさんの当事者のみなさんに
 〝救急救命の手当〟をありがとうございました










■ 梅田ゆき子さん
くらしの支援ネットでの救急救命の講習への参加は4回目。基本的な内容は同じなのに、何故か毎回、新鮮な気持ちで参加できています。
今年の講師の先生は、時折冗句を入れながら熱意と誠意あふれる話しぶりで、あっという間の3時間でした。もっとお話を聞いていたかった…。
次回は救命の現場のいろいろな経験談を聞かせてもらえたらなあと思います。
町内会などで開催の救急救命の講習会にも参加したことはありますが、たいてい参加者の皆さんは消極的で、実演の場面になると遠慮しますということが多いです。くらしの支援ネットに参加の皆さんはとても積極的。質問もポンポン出るので、先生のお話も膨らんで、中身の濃い講習会になって得した気分です。
最後に「自信がなくても命を助けることが最優先です。とにかく、救命の措置をしてください。」と、口を酸っぱくして言われた先生の言葉が心に強く残りました。









■ 広報係
初めてAEDを学ばせていただいたのは2005年7月20日でした。1ヶ月後の8月24日、AEDが実際に設置されているのを、みやこめっせで見つけました。AEDに対する認識がなかったら、たぶん気づけなかったでしょう。
もうひとつ・・・・・
くらしの支援NETWORKでは、〝救急救命の手当〟の当初から障害をもつ人や高齢者の参加を大切にしてきました。これはとてもノーマルな発想なのですが、日本社会にあってはかなり革新的なことでした。
それで想い出しました・・・・・
世界の障害者および高齢障害者の自立生活の潮流を創造したのは、1970年代のエド・ロバーツというアメリカ人です。残念ながらエドとはすれちがいで会うことはできませんでした。けれど彼と同じように今では福祉の教科書でも紹介されているジュディ・ヒューマンやADA(アメリカ障害者法)の大統領署名式にホワイトハウスで立ち会ったジャスティン・ダートとは何度か〝お茶〟したことがあります。
ジュディは「Oh!nice guy!」とベンチャラを言った後、とても印象的な話をしてくれました。
「人間には2つのタイプがあります。ひとつは『できないこと』をかぞえるタイプ。もうひとつは『できること』を育むタイプです」
前者は〝効率〟的な見かた、後者は〝人主体〟的な見かたということができます。
どちらのタイプにも合理性はあります。ただし、これからの福祉コミュニティに求められるのは後者です。
ジュディの言葉が25年の時を超えて想い出されました。





■ 橋詰ひとみさん
今日はありがとうございました。毎年講習受けている人がほとんどでさすがに手慣れているなと思いました。私自身も少しづつ自信が付いて来ました。そういう場所にでくわしたらもしかしたら協力出来るかも・・・







■ 北川美子/くらしの支援NETWORK主宰
昨年の救命救急に参加して人工呼吸を体験した5歳の孫が(「へーそんなこと」って思うでしょ!)、『できることで手伝ったらいいのだよ』と言って今回も自分の登用をつよく望んでいました。今回は障害をもつ人がお二人参加してくださいましたが、5歳の孫と同様に『できることをする救命救急の参加者』になることはできませんでした。
これは7年も続けてきて、今まで何をしてきたのかと主宰者たる私に問いかえしてみなければなりません。『できることで参加』というスタイルが、指導される消防署さんはもちろん、支援ネットの私たちですら意識づけないと素通りしてしまい、仲間はずれとまではいかないにしても人を救う一員としての働きから除外してしまうことになりました。支援NETのこの場に高齢者や障害者や子どもが、ただ参加して観ているだけで終わることがないように来年は心したいと念じています。
今回のこのスタイルって、『私は差別してないし、偏見もないよ』って思っていることと『できることで参加したらいいよ』って言うだけで終わってしまうことと同じで、実際に行動しないと現実には差別することと、何ら変わりはないのではないかと思えるのです。主宰者の私ですら、今回は『できることで参加』のスタイルを前面に出す努力がうすく、流れるままに甘んじてしまいました。


先日、帰宅途中のことです。桂川大橋から飛び込もうとしている人に出会いました。高齢の女性が橋の欄干を越えて歩き出したのです。車道を挟んで反対側の歩道にいた私は自転車を止めて、今まさに飛び込もうとしている人の腕をつかんで思いとどまってもらいました。そのあと、男の人が3人助けに来てくれて、ぶじ歩道に連れ戻すことができたのです。
事情を聴くと、今のご時世を象徴するかのような話で、タオルを巻いた手首にはリストカットした傷があり、生々しく悲しかったです。
救急救命で『大出血の手当』を何回も習ったことを思い出して、その手を挙上してもらいました。その人が再び飛び込もうとしないように、私は彼女の手をつかんでいました。駆けつけてくれた男の人たちのおかげで、私はすこし心強くなれました。
人を呼んで来ることや、AED(自動体外式除細動器)をもってくるよう人に指示したり、うろたえている人に救命救急の手当てを伝えたり、だれでも迅速にできることをすればよいのです。


そして、このようなことを、自治会やご近所さん同士で学習する機会を創り出せれば、本当の意味でご近所さん同士の繋がりが生まれてくるようなそんな気さえするのです。ひょっとすると自殺を図ろうとする高齢者の孤立した生命を、地域の絆が救ってくれるのではとさえ思えるのです。孤独死さえも・・・




















【 AEDについて市民的提言 】
手技あってAEDなしの悲劇が起こらないために
・現況 京都府内のAED設置登録台数は774台
    京都市内のAED設置登録台数は414台
    西京区内の設置登録台数は25台
・AED設置場所の提言
 京都市内のコンビニ(約550軒)に設置、
 京都市内の警察署と交番と駐在(約150)に設置、
 その他の公共施設に設置
・緊急時にAED設置場所の迅速な情報提供システムの構築の提言
・AED設置施設から外部に持ち出せるのか正式な合意確認の提言
・AEDのメンテナンスに統一的な管理システム構築の提言
・自治会や町内単位でのAED設置と指導者育成の提言
 (福祉コミュニティの創造、いたずら防止策も含意)

(AED設置登録台数-2009.7.9現在 日本救急医療財団)





追記:京都府保険医協会では「講習会受講率は上がっているものの、再受講者のないことからすでに忘れてしまうケースが多い。くわえて新しい心肺蘇生法への順応ができていない」ことを懸念している。
また、AEDの設置場所の情報提供について「単一機関によって把握されていない」ことが挙げられている。
誰にでも分かりやすい「AEDの設置場所」に関する情報提供のあり方が重要課題となっている。